【定休日欲しい?】飲食チェーン店が簡単に営業を辞められない理由

今年は台風が多かったですね。
taihu1.jpg

台風の際に飲食店なんて営業しなければいいのにという意見がちらほら聞かれます。

危険なレベルのほどの台風で出勤しなければいけないアルバイトはもちろん社員も大変ですよね。

はたまた新卒当時なんかは「定休日が欲しい!」なんて思ったことも多々あります。

それではなぜ飲食チェーン店はなかなか営業を辞められないのでしょうか?

飲食経験10年以上の私が考察していきましょう。

1.なぜ営業するのか?

先日はJR東日本ですら運転を辞めるという決断をした強い台風が日本列島を襲いましたね。

なぜ営業するのかというところでネットでは議論が連日投稿されていました。

私も飲食店に勤めていた頃は同じように感じてましたし、

「店閉めたい!」と何度も思ったことがあります。

ただこればかりはチェーン店は本部が統括してますので、許可なしには店を閉められません。

私も勝手に店を閉めたのは東日本大震災で突発的に危機と感じたあの日だけですね。

ということで、そもそもなぜ営業しなければいけないのかをあらゆる側面から考えてみたい。

はたから見れば「営業するな」は非常に簡単に言えることでもある。

しかし現実問題は・・・



2.経済的な損失考える

eigyou1.jpg

まずは経済的なところを見ていきたい。

そのひとつは売上だ。

私の働いていた時の台風の日の売上は平日で約10万程度。

これが土日であると30万程度は確保できていた。

売上の高い店であれば台風が来ようともっと売っていたものだ。

関東に50店舗あるとしよう。

今回の台風のように日曜日に直撃の恐れがあるとした場合、

平均売上30万円×50店舗 = 1500万円

1日の営業で1500万円もの予測の売上を失うことになります。

実際はもっと売り上げはいくかもしれませんね。

私の勤めていた会社は東証一部上場企業でもあります。

つまり、これは会社として株主にも数字の約束があります。

上場会社は四半期ごとに決算も発表していますし、そう簡単に数字を裏切ることはできませんよね。

mototen3.png
営業しても利益出ないのでは?

という風に思う方もいるかもしれませんが、実際の営業は事前に人件費も減らして行います

また、食材の発注や解凍なども台風であればある程度は予測できるので減らすことが可能です。

実は利益は出なくもないんですよね。

そもそもお店というのは営業してなくても固定費がかかっています。

わかりやすいのが地代家賃です。

1日でも営業しなければ損になります。

これは定休日がないのも同じです。

地主は営業しなかったからといって日割りするわけではありませんからね。

日々、そういう部分も回収しているということですね。

もちろん、私が勤めていた回転寿司という業態は人気があり売り上げも見込めるというのもありました。

仕事を休めないことは仕事が出来ないということ



3.食材も大きな問題

前述で売上が見込めるということで営業するというあたりはわかったが、

もうひとつの大きな問題のひとつが食材だ。

回転寿司では特に魚介類が多く生ものも非常に多い。
yatai3.jpg

食材は使わなかった場合は捨てることになるということだ。

期限の長いものや冷凍のものは良いが、1日営業しないとなるとリスクは多い

また、食材は開封した場合の消費期限は基本的には翌日になる。

これは多くの飲食店で共通しているのではないだろうか。

ということは1日営業しなければ、開封済のものは全て廃棄となる。

また、解凍した食材の期限も3日程度が一般的だ。

明日までに使わなければいけない食材というのが意外と多いのだ。

つまり、営業すれば捌けたはずの食材をすべて捨てることになる。

その額はおおよそ予測売り上げの半分近くにはなるだろう。

薄利多売だからこそこの額の割合が非常に大きくなる。

売上も確保できなくて、さらには食材もロスすることになるということだ。

ここまでのロスを考えて、営業をしないというのは店側にとってもリスクとなる。

関連記事:【新商品は辞められない?!】新商品と食材ロスの関連性について思うこと

4.システムの問題

チェーン店というのは効率よく多くの店舗を同じように回すためのシステムが出来上がっている。

そしてその前提にあるのは営業しているということだ。

システムというのは数字が独り歩きしている状態だ。

簡単な部分で言えば、「今日の売上が50万円で明日の予測売上は60万だから、

前日の在庫から差し引いて店舗には何万円分の食材を送りますよ、だから60万円分は解凍してくださいね」

というようなことだ。

こういったことを自動的に算出するわけ。

さらに言えば、こういったデータが配送センターに自動的に送られて、

センターの人々はそこから動くわけだ。

店舗への配送ルートや時間もおおよそ決まっている。

あの店舗が明日営業しないとかいきなり言われても困りますよね。。。

システムというのは非常にありがたいもので、物事の効率をよくしてくれる。

しかしその反面、緊急時や突発的な時には稼働しなくなるというマイナス面がある。

こういった部分もあるので、なかなか勝手な判断もできないし、なるべくなら替えたくないという理由だろう。

また、現金の輸送なんかも同じだろう。

釣銭準備や入金なども決まった時間で行われる。

これをずらすとなると何かと問題が発生してしまうのだ。

店舗に人がいないというのもまずい場合があります。

私の知っている店では納品時間に誰もいないので、休みの店長がわざわざ出向くなんてこともあるそうです。

飲食無料転職サポート【H Agent】

5.リスクと責任の問題

なるべく営業したいという会社側の考えはなんとなくわかった気がする。

しかし、付きまとうのはリスクや責任だろう。

もちろん、今回の台風でも被害があった店舗は閉店せざるを得なく閉店している。

裏を返せば、被害が出るまでは開店しているということだ。

被害が出て初めて営業を辞めるというのは改めて考えると非常に勝手でもある。

それはそうだ。これまでの会社側の考えはすべて利益の問題ばかりだからだ。

スタッフに対するリスクや責任はあまり考えられていない。

もはや店舗任せな状態だろう。

mototen3.png
バイト休みたいんですけど・・・

実際には「なんとかしろ」「来させろ」などパワハラの世界だ。

「危ない」なんてのはただの心理的な不安なだけであり、実際は大丈夫だという根拠もない言葉で囲い込むのだ。

先日の台風でも電車が動いていないなら領収証でいいからタクシーで来いというくらいの言葉が現実ではあった。
taihu2.jpg

万が一、なんかあれば、「こうすればよかったんじゃないか?」と店長は僅かな隙を突かれるだろう・・・。

弱者である学生バイトなどの労働者はしょうがなく出勤を余儀なくされる。

ただ、店舗では台風などでは売上がだいぶ落ちるので、

人件費も相当削る必要があり、事前にバイトに休んでもいいという連絡は入れるのだ。

その際は家の遠い人を優先的に休ませていた。

また午前中に出勤していた人たちも通常よりは早い時間に帰していたりはしましたね。

東日本大震災でさえも、地震のあとも普通に営業していた店舗が近隣にあったことに驚いた。

店舗被害が少なかったからだろう。

しかし、そこで働いていた従業員の家族は心配しなかったのだろうかとは思ったものだ。

会社側は多少のリスクや責任が生じたとしても全店売上のリスクと比べた場合にどちらを取るかというところだろう。

6.考えられる対応策

今回のようなケースで一番の対応策は何だろうか。

営業時間の短縮は最低限でも簡単にできるのではないだろうか。

これは東日本大震災時に実際に出来ていたので問題はないだろう。

あの時は電力不足により計画停電が行われていた。

停電されている地域の店舗は営業できなくなるので、時間を短縮して営業していたのだ。

明日の営業は17時からだ、明日は17時までだという感じですね。

今回は都心店舗では対応が出来ていた店舗が多かったかもしれませんね。

JRが動かないのでしょうがなくというところだろうが・・・。

特に23時閉店の場合の22時の営業なんて意味があるだろうか。

私も実際に勤めていて深夜手当を払ってまで台風の日に平常営業をする意味がわからないくらいでもあった。

先日の台風で言えばJR東日本のような20時以降は運転しないというのは店舗でも同等のことが可能なはずだ。

日中の段階で閉店を20時にすると宣言しちゃえばいいのだ。

今の時代でこの閉店時間に文句を言う人はほとんどいないはずだ。

仮にクレームがついたとしても、それは叩かれるものに感じる。

ただ、それでも20時閉店時間後でも店舗責任者はもちろん締めても21時にはなるだろうし、

ラスト作業者も同じように帰りが遅くなってしまうだろう。

となると20時では遅いということですね。

また、定休日がなかなかできない理由もほとんどが共通している。(特に2,3ですね)

昔は定休日というのはけっこうあった飲食店が多いが、

現在は個人経営でない限り、ほとんど見なくなりましたね。

大型のファミレスにいたってはなかなかないですよね。

飲食店店長のリアルな勤務時間を元店長が激白

7.まとめ

「外食」というのは絶対に必要なものでもない。

私が子供の頃なんて外食する場所なんて少なかったし数か月に1回くらいの贅沢のひとつだった。

しかし現在は外食が当たり前のようにやっているし、安価な店も非常に多い。

ライバルも多くなり、店を休むことは会社としても数字で負けることにもなってしまう。

そんな姿が常識となってしまったことで、おかしな世界となってしまったのかもしれませんね・・・

また、外食もライバルが増え前年比を割る店がほとんどだ。

ただでさえ前年比を割る状況に休日を作ったり営業時間を短縮するというのは前向きにやりたくはないのはよくかわる。

しかし、年々自然災害が強力なものになってきている。

台風も強さがどんどん強くなっていっている。

数年後には900hPaの台風が直撃するのが当たり前になるかもしれない・・・

関連記事:意外と知られていない台風上陸すらお金に変えてしまう裏技とは?

今回のJR東日本のようなインフラが止まるというのは今後の展開を左右する意味でも非常に面白い・・・。

関連記事:【デメリットばかりじゃない】元店長が飲食店で働くメリットをこっそり教えちゃいます

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です